t検定
手法の概要
実験や調査の結果得られた平均値が,ある特定の値より大きい(小さい)かどうかを検定するときに用いる手法です。また,2つの条件における平均値が異なるかどうかを検定するときや,回帰分析の係数βが0か否かを検定するときにも用いられます。
たとえば,実験参加者5人にクイズを解かせて,その正解率や反応時間を測定する実験を行ったとします。このとき,実験参加者の平均正解率70%が,全国平均の50%よりも有意に高いかどうかを調べるためにt検定を用います。あるいは,実験参加者5人の平均反応時間15秒が,別の実験参加者5人の平均反応時間10秒よりも有意に長いかどうかを調べるときにも (下図),t検定を用いることができます。ただし,3条件以上の比較はできないので注意しましょう。
クイズの平均反応時間(エラーバーは標準誤差)
分析するときの条件
- 「データが正規分布に従う」という条件が満たされる場合に使える分析手法ですが,データ数が十分に大きい場合(基本的には)気にしなくても大丈夫です。
- 2条件の比較をする場合には,両条件で「同じ実験参加者か否か(データに対応があるか否か)」,また「分散が等しいと仮定できるか否か」によって,以下の方法からいずれを選ぶべきか異なるので注意しましょう。
- 2条件に同じ実験参加者が参加した場合:対応のあるt検定をおこなう
- 2条件に別々の実験参加者が参加した場合:対応のないt検定をおこなう
- 分散が等しいと仮定できる場合:Studentのt検定をおこなう
- 分散が等しいと仮定できない(あるいは不明な)場合:Welchのt検定をおこなう
論文(レポート)における報告例
- A条件における正解率は,チャンスレベル(50%)よりも有意に高かった (t (10) = 2.34, p = .023)
- 対応のあるt検定の結果,A条件の反応時間はB条件より有意に長かった (t (19) = 5.24, p < .001)。